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5月 25 2021

■ バブルってどういうこと?

・ バブル経済などと表現される“バブル”は,「泡」という意味で,実態の価値以上の評価(泡の部分)が生じている経済状態のことをいいます。株式などの値段も,人気が集中して,発行企業の実力以上の評価・値段となってくると,バブルと言われます。

“バブル”は、経済学的には、理論的に正当化される水準を超えて、株式や不動産などの資産価格が大幅に上昇することと言われています。株でいうならば、ファンダメンタルズを中心に測ったその株のあるべき価格よりも、人々の人気が集中し過ぎて、ずっと高値で取引されている状態ということです。こうした“バブル”そのものは、人々の期待や不安を背景にしていますから、常に、生じては消えていきます。

・ 書物から得た知識ですが,世の中に金余りがあり,誰もがもっと値上がりすると思っていて,株価が数年で3倍,4倍となっていれば,バブル爛熟期ではないでしょうか。いつ,何がきっかけで,人々の気持ちが反転するのかは誰にも分かりません。しかし,バブルの形成・成長・崩壊のどの過程に位置するのか,長い目でみて、現在値がどのくらいのところに位置しているかにも,目配りした方がよいのかも知れません。


5月 06 2021

■ 株価は人気投票?

・ チャート分析やファンダメンタルズ分析、あるいは、その会社が手がける新製品や事業分野についての成長見込みといった直感的な判断によって、「この株がよい。」と思った株式が思惑どおりに値上がりするかどうかは、他にもその株を欲しがる人がいるかどうかにかかってきます(需給要因)。こうしたことから、株式投資は、一般に、人気投票に喩えられます。ある意味、経済情勢の見通しと、株式を発行する会社の魅力がどの程度なのか、といった「先読み」の世界になります。

・ 市場に参加する人みんなが、「これは将来性がある」と思って、買いに動いたら、値段は需給で決まりますので、たとえ、その会社の実力以上であっても、株価は上昇することになります。この「読みをはずした」場合、しっかりした会社では、景気サイクルといった、どうしても避けられない浮き沈みはありますが、株式が紙切れになってしまうようなことは少ないといえます。逆に、上場後日が浅い会社では、投資家の「人気」が先行している場合だってあります。


4月 22 2021

■ 証券情報の調べ方

・ ファンダメンタルズ分析という方法は、企業の業績や経済状況・経営環境などから株価を分析する方法です。今の株価を割安とみるか割高とみるかなど、銘柄を選び出すときに使うとよいと言われています。バフェットさん流の長期投資をする際にも、企業の成長性・永続性などを考える上で、使われていると言われています。

・ 上場企業には、3か月ごとに、企業情報の開示が義務づけられています。有価証券報告書、四半期報告書といった開示書類は、EDINETでみることができます。こうした法定開示書類は、みても面白くないし、難しいので、多くの企業で株主向けの業績報告が、もっと簡単な形でなされています。より簡単にこうした情報を得るために、会社四季報とか、廃版になってしまいましたが日経会社情報といった本が出ています(いました。なお、今は、日経会社情報は電子版で情報提供されています。)。3か月に一度という発行のタイミングですから、その間の空白期間は、独自に情報収集して好材料・悪材料の影響を予測するしかありません。

・ 少し前の日本株の取引が問題となった裁判事案では、担当者が会社四季報を頼りに銘柄選択を行ったという話が登場してきましたが、最近関わった事案では、外国株が問題となったため、会社四季報は登場しませんでした。

日本と同じように、米国では、株式の発行企業の情報開示がSECによってなされています。グーグルの翻訳機能などを使って、調べやすくなったとはいえ、外国の株式・債券を買うか買わないかを決める上で、国内のものに比べ情報を得難いとはいえるでしょう。日々接するニュースでも、現地で放送されているものと、全国版、海外版で、内容の重要度に違いがあるのが一般的です。国外の金融商品を買ったら、その国のニュースにも関心をもった方がよいと思います。


3月 24 2021

■ 自己責任原則の例外と違法性

・ 自己責任原則は働くか?

証券取引の事件を通じて思うことは、相場の値動きがしっかりしているなどと顧客有利な状況だと強調する勧誘・推奨をしておきながら、肝心のマイナス要因については何も述べない、これで果たして顧客がリスクを引き受けたといえるのか? という疑問です。

 

・ 蓋然性の濃淡

例えば、将来の株価や為替相場について、確実なことは、誰にも分かりません。しかし他方で、経済新聞では、アナリストと呼ばれる方や実際にディールに携わっている人たちが、意見を述べています。また、日銀などの政府機関でも、為替相場が形成される背景要因について、分析・検討し、政策決定の中に取り込んでいます。このように、株価や為替相場の値動きの幅に関し、合理的に、ある程度発生しやすいと捉えられている範囲と、そうでない範囲とは、区別されています。突拍子もない値段は、事故や天災のときなどには起こりえます(ファットテール)が、普段は、起こらないだろうと考えられています。

将来どうなるかは誰にも確実なところは分からないとはいうものの、株価や為替の値段で、起こり得る可能性の高い幅というものが、ある程度つかめるというのも事実です。

 

・ 大きなテーマ

証券事件の裁判は、自己責任原則が働かないといえるかが問題となります。

過去の一時点において、投資家に、的確に危険性(リスク)をイメージさせていたといえるか? すなわち、投資家はリスクを引き受けていたとみてよいのか? が、大きなテーマだと思います。

 

・ 自己責任原則の例外・・・断定的判断の提供、虚偽説明

では、どのような場合に、自己責任原則の例外といえるのでしょうか?

金融商品取引法38条2号や金融商品の販売等に関する法律4条は、断定的判断の提供を伴う勧誘行為を禁止しています。これは、断言しなくとも、不確実なことをあたかも確実であるかのように告げられると、投資判断が歪められてしまうので、そうした発言自体を禁止するというものです。裁判例をみると、マイナスなことはほとんど告げず、プラスのことばかりに偏った説明・推奨を行うことが問題ありとされています。

また、当然のことでもありますが、金融商品取引法38条1号は、虚偽説明も禁止しています。

このように、断定的判断の提供や虚偽説明については、誤解を与える発言であったといえるか、あるいは客観的事実に反しているか、という面から捉えることができるため、具体的な事実関係から当てはまるかどうか、多少分かり易いとはいえます。ただし、その評価が正しく説得的であるかは、商品の仕組みや特性、背景にある経済情勢などを踏まえる必要があります。

 

・ 自己責任原則の例外・・・仕組みと危険性の説明義務違反

そのほかに、自己責任原則の例外として、違法性が認定される大きな枠組みとしては、適合性の原則と仕組みと危険性の説明義務違反に大別されます。

ここでの危険性(リスク)は、商品の仕組みそのものに由来する場合と、背景にある経済情勢を踏まえた値動きの蓋然性から由来する場合があります。

仕組みと危険性の説明義務については、投資家の取引期間・経験、学歴、職歴などの経験や、商品の仕組みや特性、背景にある経済情勢など、個別具体的な事情を踏まえて、当事者の遣り取りが評価されることになります。このため、法律に明文をもって記述し難いという面があり、民法(債権法)改正の審議の際にも、条文化は見送られました。

裁判では、過去の先例を参考としながら、投資家の属性や、商品の仕組みや背景にある経済情勢、具体的な当事者の遣り取りといった個別具体的な事情に即して、主張立証し、その義務の存在や義務内容、義務違反の有無が裁判官によって判断されることになります。

このように、証券取引の裁判では、①対象商品の把握、②推奨の合理性を検討するために、経済情勢などの背景要因の把握、こうした①②の前提事実を踏まえた上での当事者の遣り取りの評価といったプロセスが欠かせないと思います。


3月 02 2021

■ 時間を知る、幅を知る

・ 株価はときに速くなったりする

株価は時々刻々と動いています。その動きは、取引が多く成立すれば速くなり、取引が閑散としていれば遅くなります。ネット取引をしている方なら、板画面で値段が動くスピードとして実感されているのではないかと思います。私自身は、普段、日経新聞を読んで、金融市場の大まかな動きは眺めていますが、常にみている訳ではありません。

ですが、何年か前にQUICKの画面を見学させてもらったので、ニュースで日経平均や為替の動きを見て、動きのスピード感を想像しています。

 

・ 投資期間はリスクを想像する上で重要

どれくらいの期間で、どれくらい値段が動くのかといった感覚は、投資行為をする上でとても大切なことだと思います。自分なりの取引をする基準を決めておき、経済情勢など環境の変化を吟味しつつ、基準の見直しを図る頻度を考えたりすることが、有意義だと思います。市場は常に動いていますが、常時見続けている訳にもいきませんから、時間と値動きの幅から、ときどきチェックするタイミングをもっておくことで、思惑が外れたときに対処する機会を(値が大きく乖離しない)確保できるようになる、と思えるからです。

 

・ 差金決済取引の危険性

先物取引やCFDと呼ばれる差金決済取引では、呼び値と取引単位との間に差違がありますから、値動きが、その差違の分だけ増幅して損益に反映されることになります。あらかじめ、相場が動いたときに、1日とか数日とかいった期間でのどれくらい値が動くのか、その幅を知っておき、それに対して損益がいくら発生するのか知っておかないと、痛い目に遭うことになりかねません。損失の拡大に気付くことができずに放置している間に損失がとても大きくなってしまったり、逆に、目先の値動きに振り回されて、わずかな益を確定させるために多大なコストをかけてしまうこともあり得ます。いずれにしても、相場は不確実なものですから、常に自分の想定を正確にしようと努め続けることが欠かせないといえます。

 

・ 冷静さを失わないために

逆に、予想外に大きく相場が動いてしまって、処分すると損を確定させることになってしまうシチュエーションにも、値動き幅と時間を知っておくと、どれくらい持ち続ければ回復するのか想像することが出来るようになります。もちろん、想像ですので、その通りにならないことだってあるでしょう。しかし、少なくとも価格変動サイクル(景気サイクル)から、将来どれくらいの期間塩漬けにするのか、ということを冷静に考えられるようになり、焦って底値近くで損を確定させてしまうことは避けられるのではないかと思います。


2月 17 2021

■ 無料広告という手口・ご注意。

1.相談の内容

最近,たて続けに,「無料求人広告に応じたが,料金を請求されて困っている」という相談を受けました。

 

2.勧誘・説明の問題点

契約書には無料期間中に契約更新を望まない場合には12日目までに解約を申し出ないと自動更新されるとの条項がありました。しかし,業者の電話による説明では,「初回,2週間無料。2週間以内に申し出ていただければ無料で費用はかかりません。」と言われていたこともあり,「12日目までに」という契約条項に気付かず,解約を申し出ようと思っていた14日目に至っていまいました。

 

この例の場合,厳密には2週間ではないのに,「2週間以内に解約を申し出れば無料」と説明する行為は,解約申出期間といった契約の重要な要素について,故意に誤解を誘発させるように仕向けているため,詐欺取消や錯誤取消ができると考えられます。

 

3.手口と注意点

客に交付する文書とは明らかに反する説明がなされていたので,広告業者側は,誤解させるようなセールストークをして,客の不注意に乗じて,書類上の文言を根拠に,後日,有料掲載期間に入ったといって,割高の広告料金を請求する手口のように思われます。

こうしたトラブルに遭遇しないためには,面倒でも,サインした書類を相手方へ渡す前に,契約書などの文書が,実際に受けた説明どおりの内容になっているのか,今一度確認されることをお勧めします。また,世間には「無料」をうたう商売もあるようですが,一歩引いて,「無料とうたいながら,なぜ商売として成り立っているのか」を考えてみることをお勧めします。


2月 10 2021

■ 資産とインフレ

・ 一般に、資産(金、不動産、株式など)は、インフレに強いと言われることがあります。経済成長と呼ばれているものは、適度なインフレを想定しており、インフレとは、お金の価値が下がる現象ですから、同じもの(資産)を買おうとするのに、より多くの価格がつく(貨幣の額面が多く必要となる)ということです。

・ これは、モノの価値を基準としてみると、よく分かります。金(元素記号:AU、ISO通貨コード:XAU)は、非常に長期間錆びたりしにくく、その表す価値の保存に適しています。同じ量の金を買うのに、いくらの値段がつくのかといった視点から、比較時点での貨幣1単位が表す価値がいくらなのかを比較できます。

・ この金と同じように、土地についても、欲しいという人がいる限り、値段がつき、同じ土地にいくらの値段がつくのかといった観点で、その時期の経済状況に応じて比較できます。土地そのものの価値は外部環境が変わらなければ同じ筈ですので、インフレに強いということになります。なお、建物では老朽化を考慮しないといけません。

・ では、株式についてはどうでしょうか。日持ちしそうな資産に検討を加えてきた流れで、お気づきになられた人もいるでしょうが、株式を発行している企業の永続性に関わります。30年、50年、100年と存続し続ける企業の株式なら、企業が正常に存続している限りにおいて、資産として価値を保存する効果があると一応いえます。日々上げ下げはあるでしょうし、何か問題があった際には下げることもあるでしょうが、企業が時代の変化に適応し良好に存続しているのであれば、若い頃に買った株を持ち続けて、年老いた頃には評価額が増えているといった感じです。

・ 問題は、その企業が、長期間、時代の変化にも適応しつつ存続し続けるか?ということですが、こればかりは誰にも分かりません。20年も経てば経済環境も変わるでしょうし、それこそ不祥事だって起きるかも分かりません。

・ 株式(現物)は、インフレに強いと言われることがあります。年限のある債券や投資信託も、国や企業が発行したり、運営したりするファンドの存続に関わっています。ですので、投資商品の中では、株式は比較的インフレに強いとはいえます。しかし、金や土地といった物質と比べれば、株式は、発行企業が時代に適応し存続しているといった条件付での話なのです。

・ 企業の存続可能性について、一般論としては、企業の財務状況やコンプライアンスの程度といえそうです。証券取引市場ごとに上場基準(1部が最も厳しく新興市場ほど緩いと言われている)が定められていますので、どの市場で取引されている株式なのかが一応の参考にはなるでしょう。


1月 20 2021

■ 投資取引にまつわる損害賠償について

・ 当事務所では、投資取引の顧客側代理人として事件処理に携わっています。

・ どのような場合に請求が認められるかは,証拠関係にもよりますが,その取引によって異なります。例えば,投資といっても,実は,投資を装った詐欺の場合,損害賠償が認められても,加害者から賠償を得るのは難しいことがあります。よくあるケースではパソコンの画面では,お金が増えていくような表示がされるものの,ただそのような表示がされているだけで,いざ払い戻そうとすると,お金として払い戻せないパターンです。

・ 商品先物取引は,かつて、私が弁護士となった頃には、典型的には、電話で儲け話を聞かされ、その気になり、ときには借金をしてまでお金をつぎ込まされ,最初の数回は利益を上げるが、その後は、追証請求を受け追加資金を出させられ、今度は追証を回避するためと言われて、売と買の両方のポジションをもつ両建てにさせられ,損失を挽回するためと言われて取引を繰り返すうちに、資金が尽きる、こういった感じの被害事例が横行しておりました。

今では,商品先物取引に関する規制が強化されたため,こうした典型例は少なくなった印象ですが,昔商品先物取引業者に勤めていた人たちが,FX取引やCFD取引といった顧客と相対取引(売る値段,買う値段を業者が決めてその差額を受け払いする取引)を行う会社に流れていきましたので、一部で、顧客から取引名目でお金を奪っていくような業者もいるようです。こうした業者には,証券会社に比べれば,損害賠償が認められ易いといった印象です。

・ 銀行や証券会社はどうでしょうか。為替デリバティブや仕組債といった難しい取引・商品が問題とされた事例があります。株式では頻繁に取引させることで証券マンが手数料を稼ぎ出すという事例もあります。

ただ,投資取引では,基本は自己責任なので,損害賠償請求が認められるには,なかなか難しい印象です。無断で取引されたというのでない限り,顧客の自己責任原則の例外として,顧客の投資判断を歪められたといえることが必要です。法律では,適合性原則に従うことや説明義務を尽くすこと,断定的判断を提供しないことといった義務づけがなされていますので,これらに違反したことが前提となります。要するに,聞いていた話と違うといった要素が必要です。

さらに,断定的判断の提供があると投資判断を歪められたと考えられ易いですが,仕組みやリスクについて課せられている説明義務・情報提供義務の問題を検討する上では,相場判断の間違いそれ自体は,投資取引にはつきものですから,仕組みやリスクについて誤解させたという要素も必要です。

・ 聞いていたことと違う,取引の結果について納得できないという場合,ご相談下さい。労を惜しまず、お付き合いしたいと思います。


1月 23 2020

■ 格付の意味を知ろう

1.ハイ・イールド債とは
・ みなさん,ハイ・イールド債と聞いて,どのようなイメージを持ちますか? ハイ=高い,イールド=利回り,ということから,利率が高いことと引換に,デフォルト(債務不履行,倒産)の可能性が比較的高い債券のことだと分かりましたか? 洗練されたような言葉の響きから誤解をしてはいけません。低俗な呼び方をすれば,「ジャンク債」とも言われます。英語のJunkとは,そのまま使える見込みがないほど故障・損耗し、本来の製品としての利用価値を失っている故障品という意味です。

・ では,債券投資の分野で「ジャンク債」とは,どのような債券なのでしょうか。
ある投資信託の説明書には,「一般に、ハイイールド債券とは、格付けがBB格付以下の社債(企業が発行する債券)を指します。投資適格債(BBB格相当以上の債券)と比較してデフォルトリスクが高くなる(信用力が低くなる)一方で、利回り水準が高いという特徴があります。」と書かれていました。

2.信用格付とは
・ 投資適格債(BBB格付相当以上の債券)ではないという記述から,非投資適格であるということは読み取れますが,そもそも「格付」という言葉の意味が分からないと,どういうことなのかよく分からないでしょう。
ここでいう「格付」とは,金融庁に信用格付業者の登録をしている格付会社が,債券を発行している企業や金融機関(発行体)の債務支払能力を評価して,信用力をランク付けしたもののことです。
信用格付業者ごとに若干の違いはありますが,格付記号によって,債務支払能力の大小が表示されています。

3.デフォルトの可能性はどれくらいなのか
・ デフォルトとは,債務不履行のことで,単に期日までに支払えない支払遅延から,破産・倒産といったものまで含みます。格付記号ごとに,どれくらいデフォルトの可能性があるのかが表示されているのですが,相対比較では,なかなかイメージがわかない方も多いと思います。そこで,実際の例を調べてみましょう。

・ 例えば,日本格付研究所(JCR)は,格付推移マトリックス,累積デフォルト率を公表しています。2019年3月20日付の「企業格付の格付カテゴリー別累積デフォルト率」では,次のような結果が示されていました。

JCR格付け

・ この累積デフォルト率の結果から,投資適格債(BBB)以上では,1年後のデフォルト率は1%を下回り,累積5年でも3%を下回っています。つまり,この部類に分類された発行企業100社のうち,1年以内に債務不履行を起こしたのは1社だけ,5年以内に債務不履行に至ったのは3社だけ,という割合を示しています。

・ 他方で,非投資適格であるBB格では,1年後のデフォルト率が3%を超え,累積5年では15%弱となっています。つまり,この部類に分類された発行企業100社のうち,1年以内に債務不履行を起こしたのは3社を超え,15社くらいが5年以内に債務不履行に至った,という割合を示しています。
さらに,B格では,1年後のデフォルト率が20%で,累積5年のデフォルト率は54%を超えています。つまり,この部類に分類された発行企業100社のうち,1年以内に20社が債務不履行を起こしており,54社が5年以内に債務不履行に至った,という割合を示しています。CCC格以下も同様にデフォルトとなった割合が示されています。

4.投資信託としても変動性は大きい
・ このように,非投資適格という格付の債券は,デフォルトし元金の償還が受けられない割合が高いため,単品で購入するには危険が高すぎます。
そこで,投資信託という形で分散した上で,デフォルト(債務不履行,倒産)せずに高利率のクーポンと元本償還が受けられた部分で,デフォルトしてクーポンや元本の返済が受けられなくなった債券の穴を埋め合わせることで,投資信託としての投資元本の毀損の危険性をいく分和らげるようにしてあるのです。先の英語の「ジャンク」の意味になぞらえれば,投資信託として構成しなければ,販売できないという意味では,「ジャンク」なのです。

・ このように,ハイ・イールド債は,財政基盤や,事業活動についての永続性に不安が残る企業が発行する社債=債券ですので,景気動向や,企業環境(輸出・輸入に関係する場合には,為替相場)が,デフォルトのし易さに比較的影響します。投資信託として構成した場合には,景気動向や企業環境などが,その基準価格の変動に比較的影響することになります。


12月 08 2019

■ 将来為替の動きを確率的にイメージする

・ 前回は,理論価格は,あくまで理論価格であって,「将来,現実の世界でそのようになる」というものではありませんが,将来の為替がどのようなスピードで円高となるのか,理論価格が示す結果をグラフ化してみました。

・ ところで,理論価格は,期待値とも呼ばれており,計算時点の金利を前提に最も可能性が高いところを結んだ線とも捉え直すことができます。また,どのくらいの変動が起きるかは,計算時点でのボラティリティーは既知ですので,その幅を示してやることによって,大雑把にはつかめます。どれくらいの範囲で,起こりやすいかを示してみます。
(図2)

FW為替イメージ図2

・ 債券発行当時のボラティリティを踏まえ,1標準偏差に相当する幅などを加えて図示してみると,上の図2のようになりました。為替相場が変動する上で,起き易い範囲,起き難い範囲が視覚化されます。

・ こうしたイメージは,事件に取り組んでいたときに,ふっと沸いてきたものですが,仕組債の価格評価を依頼した専門業者の方とお話した際にも,そのようなものだとご意見いただきましたし,後に出版された大手銀行が書いた専門書にも,(より専門的に確率のパーセンタイル値として表示されていましたが意味内容としては)同様の図が示されていました。誰も予知・予想できない事項は織り込むことは出来ませんが,既知の情報(為替水準,金利,ボラティリティー)から,将来の為替について,発生の可能性の大小を確率として示すことはできるのです。


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