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2021年3月

3月 24 2021

■ 自己責任原則の例外と違法性

・ 自己責任原則は働くか?

証券取引の事件を通じて思うことは、相場の値動きがしっかりしているなどと顧客有利な状況だと強調する勧誘・推奨をしておきながら、肝心のマイナス要因については何も述べない、これで果たして顧客がリスクを引き受けたといえるのか? という疑問です。

 

・ 蓋然性の濃淡

例えば、将来の株価や為替相場について、確実なことは、誰にも分かりません。しかし他方で、経済新聞では、アナリストと呼ばれる方や実際にディールに携わっている人たちが、意見を述べています。また、日銀などの政府機関でも、為替相場が形成される背景要因について、分析・検討し、政策決定の中に取り込んでいます。このように、株価や為替相場の値動きの幅に関し、合理的に、ある程度発生しやすいと捉えられている範囲と、そうでない範囲とは、区別されています。突拍子もない値段は、事故や天災のときなどには起こりえます(ファットテール)が、普段は、起こらないだろうと考えられています。

将来どうなるかは誰にも確実なところは分からないとはいうものの、株価や為替の値段で、起こり得る可能性の高い幅というものが、ある程度つかめるというのも事実です。

 

・ 大きなテーマ

証券事件の裁判は、自己責任原則が働かないといえるかが問題となります。

過去の一時点において、投資家に、的確に危険性(リスク)をイメージさせていたといえるか? すなわち、投資家はリスクを引き受けていたとみてよいのか? が、大きなテーマだと思います。

 

・ 自己責任原則の例外・・・断定的判断の提供、虚偽説明

では、どのような場合に、自己責任原則の例外といえるのでしょうか?

金融商品取引法38条2号や金融商品の販売等に関する法律4条は、断定的判断の提供を伴う勧誘行為を禁止しています。これは、断言しなくとも、不確実なことをあたかも確実であるかのように告げられると、投資判断が歪められてしまうので、そうした発言自体を禁止するというものです。裁判例をみると、マイナスなことはほとんど告げず、プラスのことばかりに偏った説明・推奨を行うことが問題ありとされています。

また、当然のことでもありますが、金融商品取引法38条1号は、虚偽説明も禁止しています。

このように、断定的判断の提供や虚偽説明については、誤解を与える発言であったといえるか、あるいは客観的事実に反しているか、という面から捉えることができるため、具体的な事実関係から当てはまるかどうか、多少分かり易いとはいえます。ただし、その評価が正しく説得的であるかは、商品の仕組みや特性、背景にある経済情勢などを踏まえる必要があります。

 

・ 自己責任原則の例外・・・仕組みと危険性の説明義務違反

そのほかに、自己責任原則の例外として、違法性が認定される大きな枠組みとしては、適合性の原則と仕組みと危険性の説明義務違反に大別されます。

ここでの危険性(リスク)は、商品の仕組みそのものに由来する場合と、背景にある経済情勢を踏まえた値動きの蓋然性から由来する場合があります。

仕組みと危険性の説明義務については、投資家の取引期間・経験、学歴、職歴などの経験や、商品の仕組みや特性、背景にある経済情勢など、個別具体的な事情を踏まえて、当事者の遣り取りが評価されることになります。このため、法律に明文をもって記述し難いという面があり、民法(債権法)改正の審議の際にも、条文化は見送られました。

裁判では、過去の先例を参考としながら、投資家の属性や、商品の仕組みや背景にある経済情勢、具体的な当事者の遣り取りといった個別具体的な事情に即して、主張立証し、その義務の存在や義務内容、義務違反の有無が裁判官によって判断されることになります。

このように、証券取引の裁判では、①対象商品の把握、②推奨の合理性を検討するために、経済情勢などの背景要因の把握、こうした①②の前提事実を踏まえた上での当事者の遣り取りの評価といったプロセスが欠かせないと思います。


3月 02 2021

■ 時間を知る、幅を知る

・ 株価はときに速くなったりする

株価は時々刻々と動いています。その動きは、取引が多く成立すれば速くなり、取引が閑散としていれば遅くなります。ネット取引をしている方なら、板画面で値段が動くスピードとして実感されているのではないかと思います。私自身は、普段、日経新聞を読んで、金融市場の大まかな動きは眺めていますが、常にみている訳ではありません。

ですが、何年か前にQUICKの画面を見学させてもらったので、ニュースで日経平均や為替の動きを見て、動きのスピード感を想像しています。

 

・ 投資期間はリスクを想像する上で重要

どれくらいの期間で、どれくらい値段が動くのかといった感覚は、投資行為をする上でとても大切なことだと思います。自分なりの取引をする基準を決めておき、経済情勢など環境の変化を吟味しつつ、基準の見直しを図る頻度を考えたりすることが、有意義だと思います。市場は常に動いていますが、常時見続けている訳にもいきませんから、時間と値動きの幅から、ときどきチェックするタイミングをもっておくことで、思惑が外れたときに対処する機会を(値が大きく乖離しない)確保できるようになる、と思えるからです。

 

・ 差金決済取引の危険性

先物取引やCFDと呼ばれる差金決済取引では、呼び値と取引単位との間に差違がありますから、値動きが、その差違の分だけ増幅して損益に反映されることになります。あらかじめ、相場が動いたときに、1日とか数日とかいった期間でのどれくらい値が動くのか、その幅を知っておき、それに対して損益がいくら発生するのか知っておかないと、痛い目に遭うことになりかねません。損失の拡大に気付くことができずに放置している間に損失がとても大きくなってしまったり、逆に、目先の値動きに振り回されて、わずかな益を確定させるために多大なコストをかけてしまうこともあり得ます。いずれにしても、相場は不確実なものですから、常に自分の想定を正確にしようと努め続けることが欠かせないといえます。

 

・ 冷静さを失わないために

逆に、予想外に大きく相場が動いてしまって、処分すると損を確定させることになってしまうシチュエーションにも、値動き幅と時間を知っておくと、どれくらい持ち続ければ回復するのか想像することが出来るようになります。もちろん、想像ですので、その通りにならないことだってあるでしょう。しかし、少なくとも価格変動サイクル(景気サイクル)から、将来どれくらいの期間塩漬けにするのか、ということを冷静に考えられるようになり、焦って底値近くで損を確定させてしまうことは避けられるのではないかと思います。


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