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1月 23 2020

■ 格付の意味を知ろう

1.ハイ・イールド債とは
・ みなさん,ハイ・イールド債と聞いて,どのようなイメージを持ちますか? ハイ=高い,イールド=利回り,ということから,利率が高いことと引換に,デフォルト(債務不履行,倒産)の可能性が比較的高い債券のことだと分かりましたか? 洗練されたような言葉の響きから誤解をしてはいけません。低俗な呼び方をすれば,「ジャンク債」とも言われます。英語のJunkとは,そのまま使える見込みがないほど故障・損耗し、本来の製品としての利用価値を失っている故障品という意味です。

・ では,債券投資の分野で「ジャンク債」とは,どのような債券なのでしょうか。
ある投資信託の説明書には,「一般に、ハイイールド債券とは、格付けがBB格付以下の社債(企業が発行する債券)を指します。投資適格債(BBB格相当以上の債券)と比較してデフォルトリスクが高くなる(信用力が低くなる)一方で、利回り水準が高いという特徴があります。」と書かれていました。

2.信用格付とは
・ 投資適格債(BBB格付相当以上の債券)ではないという記述から,非投資適格であるということは読み取れますが,そもそも「格付」という言葉の意味が分からないと,どういうことなのかよく分からないでしょう。
ここでいう「格付」とは,金融庁に信用格付業者の登録をしている格付会社が,債券を発行している企業や金融機関(発行体)の債務支払能力を評価して,信用力をランク付けしたもののことです。
信用格付業者ごとに若干の違いはありますが,格付記号によって,債務支払能力の大小が表示されています。

3.デフォルトの可能性はどれくらいなのか
・ デフォルトとは,債務不履行のことで,単に期日までに支払えない支払遅延から,破産・倒産といったものまで含みます。格付記号ごとに,どれくらいデフォルトの可能性があるのかが表示されているのですが,相対比較では,なかなかイメージがわかない方も多いと思います。そこで,実際の例を調べてみましょう。

・ 例えば,日本格付研究所(JCR)は,格付推移マトリックス,累積デフォルト率を公表しています。2019年3月20日付の「企業格付の格付カテゴリー別累積デフォルト率」では,次のような結果が示されていました。

JCR格付け

・ この累積デフォルト率の結果から,投資適格債(BBB)以上では,1年後のデフォルト率は1%を下回り,累積5年でも3%を下回っています。つまり,この部類に分類された発行企業100社のうち,1年以内に債務不履行を起こしたのは1社だけ,5年以内に債務不履行に至ったのは3社だけ,という割合を示しています。

・ 他方で,非投資適格であるBB格では,1年後のデフォルト率が3%を超え,累積5年では15%弱となっています。つまり,この部類に分類された発行企業100社のうち,1年以内に債務不履行を起こしたのは3社を超え,15社くらいが5年以内に債務不履行に至った,という割合を示しています。
さらに,B格では,1年後のデフォルト率が20%で,累積5年のデフォルト率は54%を超えています。つまり,この部類に分類された発行企業100社のうち,1年以内に20社が債務不履行を起こしており,54社が5年以内に債務不履行に至った,という割合を示しています。CCC格以下も同様にデフォルトとなった割合が示されています。

4.投資信託としても変動性は大きい
・ このように,非投資適格という格付の債券は,デフォルトし元金の償還が受けられない割合が高いため,単品で購入するには危険が高すぎます。
そこで,投資信託という形で分散した上で,デフォルト(債務不履行,倒産)せずに高利率のクーポンと元本償還が受けられた部分で,デフォルトしてクーポンや元本の返済が受けられなくなった債券の穴を埋め合わせることで,投資信託としての投資元本の毀損の危険性をいく分和らげるようにしてあるのです。先の英語の「ジャンク」の意味になぞらえれば,投資信託として構成しなければ,販売できないという意味では,「ジャンク」なのです。

・ このように,ハイ・イールド債は,財政基盤や,事業活動についての永続性に不安が残る企業が発行する社債=債券ですので,景気動向や,企業環境(輸出・輸入に関係する場合には,為替相場)が,デフォルトのし易さに比較的影響します。投資信託として構成した場合には,景気動向や企業環境などが,その基準価格の変動に比較的影響することになります。


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