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2019年11月

11月 26 2019

■ 利回り曲線(Yield curve)とは

・ 満期までの期間ごとに金利(利率)がどのようになっているのか,実際に観察してみます。財務省は,国債の金利情報を公表しています。本年11月25日の金利(利回り)を縦軸にとり,満期までの年限(期間)を横軸にとって,グラフ化すると図1のようになりました。
(図1)
利回り1

・ 上のグラフ(図1)から分かるように,期間10年までの利回りはマイナス圏を推移して,その後の期間の部分(期間10年から40年)で緩やかにカーブを描いて上昇しています。この長期金利が短期金利を上回り,利回り曲線(イールド・カーブ)が右上がりとなっている状態を順イールドといいます。将来的に金利が上昇すると考えられれば,順イールドになります。逆に,将来的に金利が下落すると考えられれば,逆イールド(短期金利が長期金利を上回り、イールド・カーブが右下がりの曲線)になります。

・ ちなみに,マイナス金利となっていない外国ではどうでしょうか? 例えば,本年11月25日のオーストラリアの国債の利回りについて調べ,グラフ化してみると図2のようになりました。期間3年までは利回りは下落(先安感)していますが,その後は上昇に転じていました。
(図2)

利回り2

・ 債券の途中売却価格は,大きくは将来の金利予想を反映しているといえます。国債の利回りを観察することで,機関投資家(プロ投資家)の将来予想をうかがい知ることができそうです。


11月 16 2019

■ 将来の為替をより「正確に」計算する

・ 半年や,1年先くらいなら,現在の金利(利率)を前提に将来為替の理論価格を計算しても,大きな影響はないと直感的には感じられます。しかし,当コラムで解説したように,複利の効果はじわじわと効いてきて,10年後,あるいは20年後の将来の理論価格は,大きくズレてしまっているのではないか,心配です。
そこで,今後5年先,10年先の将来の為替水準を考える上で,現在の金利(利率)をベースとした金利平価より正確に理論価格を導くことは出来ないのでしょうか?

・ 銀行間では,LIBOR(ロンドン銀行間取引金利:変動金利)を固定金利に交換する取引(スワップ取引)が行われています(2021年以降は廃止予定)。そこで提示されている金利(利率)は,金融のプロである金融機関が将来予測して決めている(取引が成立している)金利(利率)ですから,素人の単なる直感に比べれば合理性がありそうです。

・ そこで,証券デリバティブの分野では,現実に行われているスワップ取引の金利(利率)をベースとして,利払の回数を将来の1回(スポットレート(ゼロレート))に変換したり,値の得られない時点についてブート・ストラップ法などで補間することによって,可能な限り実世界に「近似」させて,「割引現在価値」を計算することが行われています。少し前の話になりますが,世間を騒がせていた為替デリバティブや,外貨の仕組債においては,こうした考え方による割引計算が用いられていました。

・ こうした計算によって,直感に比べれば合理的な将来の金利(利率)をもとに,将来の為替の理論価格を導くことができるのです。しかし,繰り返しますが,あくまで理論価格であって,必ずそうなるというものではありませんが・・・。


11月 10 2019

■ 為替相場に関する考え方

・ さて,理論価格つながりで,将来の為替相場の決定理論を一つ紹介します。かつて銀行と中小企業との間の契約で問題となった為替スワップや,ゼロコスト・オプション,為替の動きを参照する仕組債にも関係します。

・ それは,金利平価(きんり へいか)です。為替裁定(かわせ さいてい)といわれることもあります。平たくいえば,同じ期間で比べれば,それぞれの国の「金利で運用した結果,将来の通貨額は,価値が等しくなる筈だ」というものです。これをあてはめれば,超低金利政策がとられているわが国では,どの外国通貨と比べても,将来の為替は円高に偏る,というのが理論上の帰結となります。

・ 年1%の金利であるA国(日本)と,年5%の金利であるB国(米国)とを想定します。現在,1米ドル=100円と仮定すると,今現在の1万円は,年1%の複利運用の結果,10年後には,1万1046円になります。 他方で,年5%の複利運用の結果,現在の1万円に相当する100ドルは10年後には,162.88ドルになります。

金利平価

・ お金の額面(価格)の増え方は,金利によって,このように違いがでます。しかし,そのお金の価値は同じ筈なので,将来のある時期までの金利による運用の結果の額面額は,為替相場として均衡する筈です。 そうすると,各年までの運用の結果の元利合計で,1ドルあたりの円がいくら必要かという為替換算をすれば,フォワード・レートが導けます。

・ これはあくまで理論的帰結ですから,実際の相場は,需給など様々な要因の影響もあり,この帰結どおりにはなりません。しかし,こうした将来の為替の決定理論が,多くのデリバティブの解説書で取り上げられていることからすると,デリバティブ商品を取り扱う銀行や証券会社では,こうした理論価格を,将来の為替予測の参考にしているのだと思われます。


11月 04 2019

■ 利率がマイナスになると金利を払わなければいけないの?

・ 金利(利率)がマイナスになると,金利を払わなければならないの?という素朴な疑問について考えます。

・ 債券の利率は変動しない
先のコラムでは,債券の途中売却を例に債券利回りの考え方を紹介しました。そのとき,債券を買いたいという需要が強ければ,たとえ将来得られるキャッシュ・フローを上回っても取引され,債券利回りがマイナスに落ち込むこともある,ということを書きました。ここでは,債券の取引価格の高低であって,債券の保有者と発行体との,金利を支払う・受け取るという立場が逆転する訳ではありません。

・ マイナス金利政策
マイナス金利政策は,中央銀行が,政策金利を0未満に誘導するものです。民間銀行は,中央銀行にお金を預けることができますが,その際の,預金金利をマイナスにするのが,マイナス金利政策です。
現時点では,民間銀行は,ものすごく低い利率ですが,一般預金者に対しマイナス金利を適用していません。しかし,民間銀行は,中央銀行に預金しても,利息を受け取ることはできず,逆に,預けたお金の保管料を支払わなければならない,という状態なのです。ここでは,金利を支払う・受け取るという立場が逆転しています。

・ 価格形成と保管料
当コラムでは「■ 商品先物の理論価格」「■ 期先の上昇幅が期近よりも大となる理由」「■ 「深掘り」をしましょう(輸入トウモロコシの代金の半分は海上運賃です)」で,日本の商品先物取引の価格形成に,「保管料」や,輸入商品の場合の「海上運賃」が関係することを書きました。
お金についても,「保管料」的な発想が交錯するのは興味深いですね。


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