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10月 11 2016

■ 「深掘り」をしましょう(輸入トウモロコシの代金の半分は海上運賃です)

・最近,しばらく当コラムを書いていなかったので,一部のコアなファン(といっても,師匠と我が細君ですが…。)から「書け!」とのお声が挙がっていますので,しばらくぶりに書きます(本当は,英国のEU離脱のときに,蒸発した金額が幾らなのか少し準備をしましたが,忙しさにかまけて,お流れになってしまいました…。)。

・さて,タイトルは,日銀がマイナス金利政策を導入してもなお量的緩和を続けてきたことを修正し,誘導目標を長期金利に変えたことに対する金融業界の反応を表現した新聞見出しをもじっています。

・今回,ご紹介するのは,当コラムに掲載しました農産物(大豆とトウモロコシ)の商品先物取引被害(平成19年から20年にかけての期近と期先の限月スプレッドまがい)の続報です。

・平成28年3月24日掲載のコラムで紹介しましたように,その事案で業者が背信的な推奨を行ったといえる根拠として,合理的に見込まれる値上がり幅に違いがあり,それは,米国から輸入する際の「海上運賃の高騰」,すなわち「原油価格の高騰」による影響が大きいと指摘しました。

・その後,さらに研究を進め「深掘り」していくと,①事件当時の東京穀物取引所の米国産トウモロコシの価格に占める海上運賃の割合が約50%を占めていること,②船会社の提示する基本運賃,割増運賃(Additional Rate=Surcharge)の中で,大きな割合を占めるのが,FAF(Fuel Adjustment Factor,船舶用燃料の価格変動が生じた際に、その一部を荷主に負担してもらうためのサーチャージのこと)であり,③その改訂頻度や,④飼料として輸入している需要家は船賃の動向を含めて,飼料穀物輸入価格の変動要因を注視していることなどが指摘でき,当方の主張が正しいことの補強材料を提示することができました。興味のある方は,次の表で検証してみて下さい。

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・トウモロコシは1トン当たりの値段が大豆の約半分です。そのため,海上運賃の高騰が大豆より直接的に影響するのです。わずか2か月先のトウモロコシの値段が目立って値上がりしてしまったのです。

・裁判の世界では,社会で起きている様々の事象,人間の行動を,いかに必要十分な範囲で,要点よく分かり易く提示できるかに,説得力ある書面を書けるかのポイントがあると思います。そのためには,一つ一つの事件に対し,丁寧に研究し「深掘り」していくことが大切だと思います。


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