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4月 08 2016

■ 管理部・・・かつての名を「特別班」

・今回は,適合性原則等の遵守を履行させるために,商品先物業者の内部に設置されている「管理部」の歴史をたどってみましょう。

・昭和30年代半ばころ,主婦や高齢者を狙った訪問勧誘で,商品先物取引という仕組みを悪用してお金を取って行ってしまう被害が九州でおこり,その後,こうした営業手法が全国的に広がりました。先物取引をしたが故に全財産を失い多額の借金まで負わされて,自殺に追い込まれてしまう被害者も少なくありませんでした。

特別担当班と呼ばれていた,いわゆる管理部は,昭和53年に,主務省の指導で各社に必ず設置されるようになりました。業者団体である全国商品取引員協会は,新規取引不適格者参入防止協定,新規委託者保護管理協定,新規委託者管理改善特別措置基準といった協定を結び,各社は新規委託者保護管理規則という社内規則を設けるようになりました。監督的な立場にあった全国商品取引所連合会は,各社向けに,「受託業務指導基準」を定め,その中で,特別担当班の職務と統括責任者の職務がうたわれています。

・この受託業務指導基準には,特別班の職務として,①受託に先立ってあらかじめ委託者の適格性等を精査確認すること,③毎月1回以上売買内容を精査し,その結果に基づき必要な事項は担当外務員に対し,指導又は指示を行うとともに,その内容を記録整理すること,④上記に係る記録については,責任者が点検し,所見等を記入し,その写しを統括責任者に送付することが挙げられていました。

・そして,受託業務指導基準は,(注解)として,①に関しては,「c 高令者,女性,常時連絡のできない者及び経済的な知識又は理解力に乏しい者等については,安易に認定することのないよう,その適格性を十分精査すること。」と,わざわざ「経済的な知識」や「理解力」が乏しい人を安易に認定してはならないと述べています。
ここでは,商品先物取引が,流通や生産に関する特定の分野に携わる当業者といった業界内部者(専門家)として,勧誘の相手方が,業界内部者と同じように「経済的な知識」を十分に備えているかどうか審査をしなさいというものですから,本来の意味からすれば,とても厳しい基準だといえるでしょう。

・受託業務指導基準の③に関する(注解)では,「精査の内容は,所定の項目のほか,常時両建の有無,利益金の支払い状況,売買の頻度等について留意すること。」と書かれています。常に両建になっている取引があるかどうかという観点は,片建であったときに抱えた評価損を固定するだけの意味しかなく,顧客がそのことを分かってやっているのか,あるいは,このコラムでも紹介しましたが,限月間の価格差に着眼したスプレッド取引や,類似商品間の価格差に着眼したサヤ取り取引があれば,経済的な知識に裏付けられた理解を伴って行われているか否かなどに重点を置いて,月に1度は確認精査しなさいということなのです。
また,利益金の支払い状況や売買の頻度について重点を置いて確認精査しなさいということは,外務員が顧客の利殖をちゃんと優先しているかをチェックするためです。というのも,顧客が取引益を積み重ねても,業者が自己の収入を優先して,顧客の取引益金を証拠金として預り続けて取引を拡大するように仕向けたり(利乗せ),証拠金として預り続けて取引を繰り返し行わせれば(証拠金はいずれ)手数料に転化するのですから,顧客の利殖よりも業者の収入が優先されて,顧客は単なる資金提供者でしかなくなってしまうのです。

・このように現在置かれている管理部の前身である特別班では,顧客の取引状況をチェックして,建前としては,顧客をないがしろにして,外務員が自分の営業成績を上げようとしたり,会社(商品先物取引業者)の収入を優先しようとしたことが疑われる場合には,外務員を指導・指示して是正すること(とその記録化)が職責とされていたのです。


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