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3月 14 2016

■ サヤ取り

・同じ商品で,売と買を同時に建てて,同時に落とすという取引手法をする場合には,どういった点を注意すべきでしょうか?

・法律家である皆さんは,きっと「両建」だ,だから違法だ,と思われるかも知れません。でも,同時建て落ちで全面禁止とされているのは,同一限月・同一数量の両建の場合に限られますよね。
「8 商品市場における取引等につき,顧客に対し,特定の上場商品構成物品等の売付け又は買付けその他これに準ずる取引とこれらの取引と対当する取引(これらの取引から生じ得る損失を減少させる取引をいう。)の数量及び期限を同一にすることを勧めること。」(商品取引所法(平成21年改正前)214条8号)

・異限月両建の場合は,「原則禁止」であり,全面的な禁止ではありません。
「9 商品市場における取引等につき,特定の上場商品構成物品等の売付け又は買付けその他これに準ずる取引等と対当する取引等(これらの取引等から生じ得る損失を減少させる取引をいう。)であってこれらの取引と数量又は期限を同一にしないものの委託を,その取引等を理解していない顧客から受けること。」(同法施行規則103条9号)
異限月両建は,「意味を理解した委託者」であれば,禁止されるとはいえないのです。

・こうした両建・両落しの取引は,古くからサヤ取り(裁定取引)の一つとして,行われている手法です。サヤ取りには,どのような種類の価格差(の伸縮)を対象とするかによって,①同一商品の異市場間サヤ取り(アービトラージ),②類似商品間のサヤ取り(ストラドル),③同一商品同一市場の異限月間サヤ取り(スプレッド),④同一商品の現物・先物市場間のサヤ取りなどがあります。
サヤ取りという手法が合理的に妥当するような相場状況であって,その建て落ちの意味を理解している人に対してまでも,違法視する必要はないから,異限月両建ては,法律上,上記のような「制限」に留められているのです。とすれば,逆に,サヤ取りの手法を採ることが合理的だといえるような相場状況にあり,かつ,その意味を委託者が理解しているということまで言えなければ,適法とはならない筈なのです。


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