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1月 18 2016

■ 差玉向かいという業者の取引方法を知っていますか?

・今回からは,価格形成の観点から離れて,顧客に取引の推奨を行う業者(商品取引員)が,平成21年の最高裁判決まで,どのようにして,顧客の損失を利益として吸い上げていたかを解説していきます。

・商品取引員は,自己取引部門を持っています。もし業者が,顧客に対しては相場に反する取引を推奨して,業者自身は,その反対側に回れば(売買の反対当事者となれば),顧客の損した分を取引上の利益として得ることができます。ここでは,顧客の取引の直接の相手方となることを,(完全な)向かい玉とでも呼ぶことにしましょう。(完全な)向かい玉は,顧客は,意図的に,取引損をさせられ,取引益名目でお金が業者に移転するよう仕組まれているから明らかな詐欺です。

・では,顧客の直接の取引の相手方にさえならなければ,業者は,詐欺あるいは民事上の不法行為責任を問われないのでしょうか?……答えはン,ノーです。

・「相場の動向に反する取引」という点を,1日ごとの終値の騰落(前日比での上昇・横ばい・下落)というレベルで抽象化して考えてみます。また,業者にとっては,特定の顧客を狙い撃ちする理由はありませんから,その業者に委託している顧客全員として考えてみます。1日の取引が終了した時点で,その業者に取り次ぎを委託している顧客の取っているポジション(委託売取組高,委託買取組高)と,その業者が取っているポジション(自己売取組高,自己買取組高)と,それぞれの合計をみてみましょう。

・委託売取組高と自己売取組高の合計(次のグラフで「売総取組高」)と,委託買取組高と自己買取組高の合計(次のグラフで「買総取組高」)とがほぼ一致している場合のことを差玉向かい玉(さぎょく むかいぎょく)と言います。

取組高推移(向かい玉典型)

・終値の推移(騰落)の分析ですが,多少の違いはあっても,数日~1週間くらいの相場動向に関する顧客と業者の損益を大まかに掴むことができます。先物取引はゼロサムの仕組ですから,業者が自己の注文で益を得ようとすると,他の誰かが損しなければなりません。そして,ある業者の売総取組高(委託売+自己売)と買総取組高(委託買+自己買)とがほぼ一致していれば,その業者は,取引所(もしくは清算機構・クリアリングハウス)との清算をほぼしなくて済み,預かり証拠金から自社顧客の取引損失分を差し引いて,それをほぼ自社の取引利益として得ることができるのです。これが,ポジションの存続中(未決済残玉:ミケッサイ ザンギョク)の損益の発生状況の分析から言えることです。

・こうした差玉向かいは,マルキ商事事件や同和商品事件では,他の要素と相まって詐欺罪が成立するとされていますし,平成21年最高裁判決でも違法とされています。


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