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9月 29 2021

■ 中国株式バブルの制度的要因(2007年秋~2008年)

・ これまでのコラムでは、バブルの生成や崩壊に、人々の期待が関わっていること、バブルの見分け方などについて触れました。

今回は、私が事件を担当した中で知った、外国政府の政策が株価へ影響したケースについて紹介したいと思います。

それは、中国で2005年に行われた株式分置改革と呼ばれる制度改革が、2007年秋~2008年にかけての中国株式市場のバブル崩壊に大きく影響したということです。

・ 中国企業の株式は,もともと流通株と非流通株の2種類があったのですが、株式分置改革と呼ばれる政策は、非流通株主が流通株主へ「対価」を払うことで、流通権を獲得できるようにするという改革です。2005年から本格的に実施され、2006年12月末までに、対象企業の98%が実施したと言われています。

そして、この株式分置改革を経て流通権を獲得した株式は、1年間は市場売買が出来ないとされ、その後も、総株数に対する持株比率によって市場売買可能な量が規制されていました。

・ すると、どうでしょうか? 2006年12月までに大半の中国企業で非流通株から流通株への転換が行われ、1年経過した2008年からは数量規制があるとはいえ、新たに大量の株式が市場に出回ってくることになります。

市場参加者が増加して,買いたいという人が増えれば、価格は上がる筈ですが,市場参加者の増加とともに,新たに流通権を獲得した株が市場に出回るようになり、取引対象の商品も増えていく訳ですから,需給の観点からは、供給が多ければ、株価は下げていくことになります。

こうした現象が起きたことは、需要と供給で価格が決定されるという経済原理を考え,かつ、その国の法制度とその実情を知っていれば,同時代であったとしても,株価下落の予見は出来る筈です。

・ 私が担当したのは、市場に商品(非流通株から流通権を獲得し、据置期間を満了した株式)が次々と発生し、その価格破壊が起き、暴落した後でさえ、株価が「バブル絶頂期の水準まで戻る」といった、およそあり得ないシナリオを前提に、勧誘していた事案でした。

こうしたことから、外国の債券や株式を買う際には、その国の社会制度・法制度、それから実際の経済の動き、経済への影響を知っていないと、思わぬ「落とし穴」もあるということです。


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