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12月 09 2015

■ 売と買は常に同数なの?

・商品先物取引被害など投資取引被害案件を担当していると,売りが多いとか,売の自己玉の取組高とか,売と買の枚数に着目することがしばしばあります。慣れないうちは,こうした話を聞いても,よく分からないと感じるかと思います。そこで,迷わないように,押さえておくべきことを言いましょう。・・・実は,売と買は,常に同数なのです。

・そんなん当たり前じゃん,とすぐに気が付く人は,ちゃんと分かっている「法律家」ですね。売買は,当事者の一方が,ある財産権を相手方に移転することを約し,相手方がその代金を支払うことを約することによって成立する2当事者間の契約関係ですから,その売主の地位を売玉,買主の地位を買玉と考えれば,同数なのは自明ですよね。

・躓きかけた人は,顧客(委託者)の取引に目を向け過ぎているのではないでしょうか。取引の客観的内容を把握するために,委託者別先物取引勘定元帳を取り寄せてグラフ化してみると,全て手仕舞いした後には,売玉も買玉も0になって同数となりますよね。委託者が,普通の初心者なら取引期間中は買玉が多くなっているかと思います(あるいは,両建をハメられて同数だったりもしますが…)。これはこれで自然なのですが,一人の取引だけをみて偏りがあるからといって,全体もそうだということにはならないのです。

・イタカンは,「委託者別」の元帳ですから,取引期間中の建玉に偏りが生じていてもおかしくはありません。でも,注文が執行された市場の向こう側には,必ず,反対ポジションをとった人がいるのです(そうでなければ,約定が成立しません。)。
その日の市場全体の取引を観察すると,売り買い同数ということが分かります。
例えば,東京商品取引所の2015年12月3日のカテゴリ別取組高表には,金(標準取引)について,合計枚数は売も買も9万5,903枚で同数です。
7分類の内訳をみると,市場取引参加者自己玉の売が49,268枚,買が5,708枚,受託取引参加者自己玉の売が751枚,買が1,259枚,当業者委託玉の売が99枚,買が3枚,非当業者委託玉の売が45,341枚,買が88,182枚,市場取引参加者委託玉の売が127枚,買が214枚,受託取引参加者委託玉はなくて,一般・準取引参加者委託玉の売が317枚,買が537枚と公表されています。
一般委託者の買が88,182枚と突出していますが,これを吸収しているのが,一般委託者の売45,341枚と取引参加者自己玉売49,268枚です。ちなみに,前日12月2日の取組高表には,合計枚数は売も買も9万6,472枚とあります。

・取引期間中の日々の取組高合計の推移は,新甫限月の最初の立会いのことを発会(はっかい)と言いますが,発会から実物取引を超えて売買が膨らみ(仮需給・かりじゅきゅう),納会日(のうかいび,最終取引日)が近づくと,実物の受渡しを前提とした取引枚数にしぼんでいくというイメージです。


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