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商品先物取引被害の救済

2月 04 2016

■ プロップって?

・商品先物取引への取引参加者は,かつては主婦や高齢者を狙った訪問販売により,個人の委託者が大半を占めていました。自殺に追い込まれるなど余りに悲惨な消費者被害を多発させていたため,規制強化が叫ばれ,平成16年の商品取引所法の改正で勧誘に規制がかけられるようになり,平成21年の法改正によって不招請勧誘が禁止されました。

・国内公設市場の商品先物取引の出来高は,平成15年度の1億5500万枚をピークに,大きく減少してきました。規制強化の流れの中で,許可がおりない業者は廃業し,職を失った外務員らは,顧客との相対取引で行うFX取引業者や(商品やCO2排出権など時代の注目を集めたモノを取引対象に掲げた)CFD取引業者,未公開株の販売業者などに流れていったと目されています。

・平成17年当時,TOCOMにおける取引シェアは,対面営業にかかる個人委託者と,業者の自己取引で75%くらい,商社の取引が20%くらいを占めていました。
では最近の先物取引の参加者はどうなっているのでしょうか? 5年ほど前から,ネット取引中心の業態の会社や,国内プロップ・ハウスが台頭してきました。ここで「プロップ」とも呼ばれるプロップ・ハウスとは,自己資金で運用する投資会社(運用業者)のことをいいます。平成26年時点では,海外プロップ・ハウスや海外業者(海外ファンドや当業者)の取引が増えて,シェア約50%を占めるに至っています。

・先物業者の自己取引は,規制強化により大きく減りましたが,一部では自己取引部門を別会社化するなどして行われていると言われています。また,商社のディーリングも,海外プロップ・ハウスとの競合や,コンプライアンスの強化などにより減り,商社の現物ヘッジ取引も,リスクの引受け手(≒損失を被る人)であった個人委託者の取引が減った結果,大きく減ったと言われています。国内プロップ・ハウスも海外プロップ・ハウスとの競合で,いまではほとんどいなくなったようです。
委託注文の内訳をみると,海外取引やネット取引が拡大したことにより,その点に強みがある外資系証券会社やネット証券会社のシェアが大きく拡大しました。例えば,TOCOMのホームページをみると,2016年01月08日の売買高上位10社の中には,N産センチュリー証券,ニューエッジ・J証券,F証券,R天証券といった「証券会社」が上位を占めています。平成17年度では,2%程度に過ぎなかったプロップ・ハウス(当時は国内プロップ・ハウス中心)のマーケット・シェアは,現在では,約30%に上昇した。海外取引高における海外プロップ・ハウスのシェアも,60%から80%で推移しています。

・では,取引方法はどう変わったのでしょうか? 個人や当業者などは,自分の相場観やヘッジ目的や投資方針に基づいて取引を行いますが,こうした取引は,他の限月や他の市場との価格差(乖離)をもたらす傾向があります。こうした個人や当業者の取引から生まれる限月間,市場間の価格差(乖離)を利用した裁定取引を中心に行うのが,商品先物取引業者の自己取引,商社のディーリング,国内・海外のプロップ・ハウスなどで,予め自動売買のプログラムを組んだシステム取引で,(超)高速取引とか高頻度取引(HFT)とも呼ばれる,アルゴリズム取引とよばれるものの一種です。


1月 27 2016

■ 業者と取引所との間の清算方法が意味するところ

・さて,差玉向かいを行って取組高を均衡させていると業者が,自社顧客の取引損失を利益として取り込むことができるか,それを狙って相場動向に反する推奨をするのかを理解するためには,ゼロサム取引であることとともに,取引所との清算方法を理解する必要があります。

・業者は,毎日,取引所との間で,その日に行われた取引で発生した損益を清算しています。その清算方法は,前日の帳入値段と当日の帳入値段との差額である帳入差金によって計算します。ここでいう帳入値段とは,委託者の値洗い計算の基となる値段で,普通は,大引値が帳入値とされます。

・具体的な帳入差金による清算の方法は,当日に建て落ちがあった玉については、約定値段と帳入値段との差分の損益を,当日,ポジションを持ち越しただけの玉については,前日の帳入値段と当日の帳入値段との差分の損益を,それぞれの枚数分計上する,というものです。

・具体例でみてみましょう。ある委託者Aさんが,1日目に100円で買建しましたが,終値(帳入値段)が110円でその日の取引が終わりました。このとき,Aさん分として,業者が取引所との間で清算するべき額は,次の図のように,「(帳入値段-約定値段)×枚数」であり,+10円×枚数の受け取りが生じることになります。
翌日Aさんは,ポジションを持ったままでした。帳入値段はさらに20円上がって130円となりました。この日のAさんに関する分の業者と取引所との清算は,「(当日帳入値段-前日帳入値段)×枚数」であり,(130-110)×枚数の受け取りが生じることになります。

買一枚の清算

・こうした建落のときと,保有中のときの清算の計算を,全銘柄,全限月,委託玉と自己玉とを問わず行って,業者は取引所との間で,その差額の清算を毎日行っているのです。約定差金は当日の建値との差で発生しますが,帳入差金は,建てたか落としたかに関係なく,値動きだけで計算されます。大まかにみれば,翌日に持ち越した未決済残玉(未決済ポジション)の数量と終値の日々の変化で,業者が取引所との間で行う清算の支払・受取をつかむことができます。また,売と買の違いによって,清算のプラス・マイナスが違ってきますので,売と買の未決済残玉の数が同数に近ければ近いほど,業者は,預かった証拠金等はそのまま保管を継続し,取引所との清算という形で流出させないで済みます。委託者の損を自己の益に取り込むほかに,売買を繰り返せばいずれ手数料として収受するべき預かり金をほかへ逃さないようにするという,差玉向かいを行う動機付けがあるのです。
・こうした業者と取引所で行う清算のイメージを,図にすると,次のように考えることができます。

業者の収益の最大化と従業員

・自社の顧客と自己の合計した売と買の取組高を均衡させることによって,預かり証拠金が取引所を介して,他人の利益として持って行かれなくなる,ということがお分かりいただけましたか? こうした状況を作っておけば,預かり証拠金は,取引を繰り返すうちに,手数料に転化して細り,無くなってしまいます。

・ゼロサムの差金決済取引においては,業者としての毎日の売と買のポジションの清算金額が小さければ小さいほど,たとえ向かい玉をしていなくても,預かり証拠金は,取引所との清算を介した他人への流出は小さくなり,顧客が取引を繰り返すうちに,手数料収入に転化して無くなります。 こうした業者と取引所との間の清算を分析することは,商品先物取引に限らず,分別保管が義務づけられ信託銀行などに預かり証拠金の管理をさせているFX取引業者やCFD取引業者においても,毎日の清算の計算方法は違いますが,手数料へ転化する過程の原理は同じですので,発想を応用することができます。


1月 18 2016

■ 差玉向かいという業者の取引方法を知っていますか?

・今回からは,価格形成の観点から離れて,顧客に取引の推奨を行う業者(商品取引員)が,平成21年の最高裁判決まで,どのようにして,顧客の損失を利益として吸い上げていたかを解説していきます。

・商品取引員は,自己取引部門を持っています。もし業者が,顧客に対しては相場に反する取引を推奨して,業者自身は,その反対側に回れば(売買の反対当事者となれば),顧客の損した分を取引上の利益として得ることができます。ここでは,顧客の取引の直接の相手方となることを,(完全な)向かい玉とでも呼ぶことにしましょう。(完全な)向かい玉は,顧客は,意図的に,取引損をさせられ,取引益名目でお金が業者に移転するよう仕組まれているから明らかな詐欺です。

・では,顧客の直接の取引の相手方にさえならなければ,業者は,詐欺あるいは民事上の不法行為責任を問われないのでしょうか?……答えはン,ノーです。

・「相場の動向に反する取引」という点を,1日ごとの終値の騰落(前日比での上昇・横ばい・下落)というレベルで抽象化して考えてみます。また,業者にとっては,特定の顧客を狙い撃ちする理由はありませんから,その業者に委託している顧客全員として考えてみます。1日の取引が終了した時点で,その業者に取り次ぎを委託している顧客の取っているポジション(委託売取組高,委託買取組高)と,その業者が取っているポジション(自己売取組高,自己買取組高)と,それぞれの合計をみてみましょう。

・委託売取組高と自己売取組高の合計(次のグラフで「売総取組高」)と,委託買取組高と自己買取組高の合計(次のグラフで「買総取組高」)とがほぼ一致している場合のことを差玉向かい玉(さぎょく むかいぎょく)と言います。

取組高推移(向かい玉典型)

・終値の推移(騰落)の分析ですが,多少の違いはあっても,数日~1週間くらいの相場動向に関する顧客と業者の損益を大まかに掴むことができます。先物取引はゼロサムの仕組ですから,業者が自己の注文で益を得ようとすると,他の誰かが損しなければなりません。そして,ある業者の売総取組高(委託売+自己売)と買総取組高(委託買+自己買)とがほぼ一致していれば,その業者は,取引所(もしくは清算機構・クリアリングハウス)との清算をほぼしなくて済み,預かり証拠金から自社顧客の取引損失分を差し引いて,それをほぼ自社の取引利益として得ることができるのです。これが,ポジションの存続中(未決済残玉:ミケッサイ ザンギョク)の損益の発生状況の分析から言えることです。

・こうした差玉向かいは,マルキ商事事件や同和商品事件では,他の要素と相まって詐欺罪が成立するとされていますし,平成21年最高裁判決でも違法とされています。


12月 27 2015

■ 商品先物の理論価格

・今日は,先物の理論価格について解説します。
理論価格といっても,価格変動過程をモデル化してシミュレーションするような難しいものではありません。常識的に考えて分かる範囲のものです。

・モノを保管したり,運んだりするには,お金がかかるでしょう。また,需要家のためにモノを保管することは,売買代金としてすぐに現金化していれば運用できるのに,運用せずに眠らせておくことと同じで,代わりに金利負担をしていることと同じですよね。こうした納会日までの期間に応じてコストがかかるため,将来にわたるほど,高値となると考えられています(順ざや)。

・計算式チックに書くとすれば,

先物理論価格 = 現物価格+(現物価格×金利×日数/365)+{保管料(倉庫料+保険料)×日数/365}

となります。出典は,小山良,済藤友明,江尻行男編著「ゼミナール日本の商品先物市場」東洋経済新報社1994年の150頁~151頁あたりです。

・商品やその時々の経済情勢によっては,まれに,将来にわたるほど安値となってしまう逆ざやが発生することもあります。さやが逆転している状態であったのに,順ざやへの移行を悪用した被害例が,最高裁判決(平成21年7月16日)で認められています。


12月 19 2015

■ ガソリンは夏場に灯油より高くなる。灯油は冬にガソリンより高くなる。

・不適切な情報が提供されたかどうかは,取引対象商品の価格形成メカニズムを理解することが前提となります。その上で,実際に取引が行われた期間について,わが国や世界中の政治・経済・気象などの出来事が,価格形成メカニズムにどう影響を与えたかを考慮して,不適切な情報提供がなされたかを吟味することになります。

抽象的はいま申し上げたようなことなのですが,また,おいおい具体例をあげて解説していくつもりです。要は,価格形成の基礎となるのは,需給と理論価格だ,くらいにいまのうちは思って下さって結構です。今日は,簡単にわかる需給について話します。

・タイトルの「ガソリンは夏場に灯油より高くなる。灯油は冬にガソリンより高くなる」は,四季のあるわが国での需要期の違いを言い表したものですが,ある意味当たり前ですよね? 初夏の行楽シーズンやお盆の帰省などに車を使う人も増えるでしょうし,暖房用の灯油は暖かければ要りません。

・実際の価格推移で確かめてみましょう。下のグラフは,2003年5月から2004年8月にかけての価格推移(チャート)を示したものです。

20151219-01

・赤丸で囲んだ2003年5月~11月にかけて,冬に納会日を迎える12月限の灯油の方が12月限のガソリンよりも高値で推移しています。逆に黄丸で囲んだ2003年11月~2004年5月にかけて,初夏に納会日を迎える6月限のガソリンの方が,6月限の灯油よりも高値で推移しています。

・では,各時点での期先限月をつないでいったらどうなるでしょう?
それぞれの時点で納会日が来るのが一番遅い限月(期先)の価格をおっていくと,次のグラフのように,3月末と9月半ばに灯油とガソリンの価格が入れ替わったことが分かります。

20151219-02

・そうすると一般的な傾向として,納会日が冬場の限月の場合,ガソリンより灯油の方が高くなる傾向があり,逆に納会日が夏場の限月の場合は,ガソリンが高くなるといえそうです。

・そこで,これから冬を迎えるぞという時期に,あなたが,冬場に納会を迎えるガソリンと灯油を取引するなら,「ガソリン売,灯油買」の組み合わせが合理的だとは思いませんか? だって冬場に向けてガソリンは値下がりする傾向があるなら,高く売って後に安く仕入れることができそうですし,灯油は冬場に向けて値上がりする傾向があるなら,安く買って高く売れそうだから…。でも,実は,リスクの少ないサヤ取りと称して,上の取引例の逆「ガソリン買,灯油売」の組み合わせを勧誘,推奨した業者もいるのです。


12月 09 2015

■ 売と買は常に同数なの?

・商品先物取引被害など投資取引被害案件を担当していると,売りが多いとか,売の自己玉の取組高とか,売と買の枚数に着目することがしばしばあります。慣れないうちは,こうした話を聞いても,よく分からないと感じるかと思います。そこで,迷わないように,押さえておくべきことを言いましょう。・・・実は,売と買は,常に同数なのです。

・そんなん当たり前じゃん,とすぐに気が付く人は,ちゃんと分かっている「法律家」ですね。売買は,当事者の一方が,ある財産権を相手方に移転することを約し,相手方がその代金を支払うことを約することによって成立する2当事者間の契約関係ですから,その売主の地位を売玉,買主の地位を買玉と考えれば,同数なのは自明ですよね。

・躓きかけた人は,顧客(委託者)の取引に目を向け過ぎているのではないでしょうか。取引の客観的内容を把握するために,委託者別先物取引勘定元帳を取り寄せてグラフ化してみると,全て手仕舞いした後には,売玉も買玉も0になって同数となりますよね。委託者が,普通の初心者なら取引期間中は買玉が多くなっているかと思います(あるいは,両建をハメられて同数だったりもしますが…)。これはこれで自然なのですが,一人の取引だけをみて偏りがあるからといって,全体もそうだということにはならないのです。

・イタカンは,「委託者別」の元帳ですから,取引期間中の建玉に偏りが生じていてもおかしくはありません。でも,注文が執行された市場の向こう側には,必ず,反対ポジションをとった人がいるのです(そうでなければ,約定が成立しません。)。
その日の市場全体の取引を観察すると,売り買い同数ということが分かります。
例えば,東京商品取引所の2015年12月3日のカテゴリ別取組高表には,金(標準取引)について,合計枚数は売も買も9万5,903枚で同数です。
7分類の内訳をみると,市場取引参加者自己玉の売が49,268枚,買が5,708枚,受託取引参加者自己玉の売が751枚,買が1,259枚,当業者委託玉の売が99枚,買が3枚,非当業者委託玉の売が45,341枚,買が88,182枚,市場取引参加者委託玉の売が127枚,買が214枚,受託取引参加者委託玉はなくて,一般・準取引参加者委託玉の売が317枚,買が537枚と公表されています。
一般委託者の買が88,182枚と突出していますが,これを吸収しているのが,一般委託者の売45,341枚と取引参加者自己玉売49,268枚です。ちなみに,前日12月2日の取組高表には,合計枚数は売も買も9万6,472枚とあります。

・取引期間中の日々の取組高合計の推移は,新甫限月の最初の立会いのことを発会(はっかい)と言いますが,発会から実物取引を超えて売買が膨らみ(仮需給・かりじゅきゅう),納会日(のうかいび,最終取引日)が近づくと,実物の受渡しを前提とした取引枚数にしぼんでいくというイメージです。


12月 07 2015

■ 値決めの方法:ザラ場と板寄せ

・商品先物取引での値段の決め方には,従来,板寄せ方式とザラ場方式とがありました。

・板寄せ取引は,例えば,午前9時,午前10時,午前11時などと立ち会い時刻を定め,買い手と売り手が集まって,おのおの買値・売値を提示し,売の枚数と買の枚数がちょうど同じとなる価格を探り(仮約定値段を上下させて,売や買の注文を誘う。),その価格で全ての売と買の注文を成立させるというもので,単数約定値段方式ともいわれます。

・商品取引員は,指値の値段ごとに,自社の顧客の注文(委託)と自己取引の注文(自己)とを区別せず,売注文の合計と買注文の合計との差引枚数を注文執行します。取引参加者全体での売注文と買注文との差引枚数は端(ハナ)と呼ばれ,端が0のときに約定します。

・立会終了後,原則20分以内は,バイカイ申告時間といって,商品取引員は,実際の注文枚数に合わせて,売りと買いの同数分の売買を,自己と委託の区別をして申告することになっています。バイカイ付出しは,約定値段が決まってから委託者にその取引を押しつける手段として,悪用されることもあります。委託者の注文伝票の指値が,取消しや変更なく,約定値段と一致していることが度重なれば,値段がうごいている時(仮約定値段を上下させている立ち会いの時)までに出された注文ではなくて,バイカイ付出しによる「後出し」であると思われます。

・ザラ場取引は,正確には,取引の開始(寄付きの始値の決定)と終了(引けの終値の決定)とで板合せが行われるので,「板合せザラ場取引」です。

・寄付きと引けの間の「ザラ場」では,価格が優先され,同じ価格の注文同士では注文時刻の早いほうが優先されて,自動付合せが行われます。売りと買いの注文状況を示す「板」(イタ)画面を実際にみてみると,付合せの仕方がよく判ります。チラチラと点滅して数字が動いている様子を眺めていると,誰かが今売った,あーっ値が動いたと,見ていて飽きません。
百聞は一見にしかずです。「法律家」の皆さん,是非,取引の実際をのぞいてみましょう。


12月 02 2015

■ 利益相反平成21年最高裁判決とその活用法

・業者が自己取引でしていた差玉向かいに関し,平成21年に2つの最高裁判決が下されています。一つは板寄せ手法に関する7月16日判決で,もう一つはザラ場手法に関する12月18日判決です。これらの最高裁判決を受けて,旧商品取引所法の施行規則103条21号が新設され,差玉向かいをしている事実と利益相反についての通知義務が明文化されました。

・これらの最高裁判決は,一般には,差玉向かいを行っている場合は,業者がそれをしていることと,顧客との間で利益相反関係が生ずる可能性が高いことを説明すべき義務があることを明らかにしたと受け止められているようです。

・でも7月判決をよく読むと,「特定の種類の商品先物取引」とか,「専門的な知識を有しない委託者」とか,実務や被害の実態を正確に捉えて,言葉を選んでいることが分かります。ここには差玉向かいの利益相反に関する説明義務に留まらない価値判断が示されています。

・平成21最高裁判決の引用は省略しますが,この判決によると,「専門的な知識を有しない委託者」は被害者であることを推測させるともいえるでしょう。また,業者から推奨を受けて取り次いでもらう対面取引では,「不適切な情報が提供される危険性」があることを示したともいえるでしょう。

・私たちの提言は,この判決の意義に焦点を当てて,仮に,業者の側があげ足取りをしてきても,それを乗り越えるだけの訴訟活動をしましょう,ということです。この後,用語解説やポイントとなる考え方などを解説していきます。


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