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シリーズ・外国証券取引

8月 26 2021

■ 外国の経済事情を掘り下げてみて(2007年頃の中国株式市場)

・ バブル爛熟期かどうかの見分け方として、「よくわかる景気の見方株価の読み方」(真壁昭夫著)によると、①金余り、②誰もが信じ込んでしまうほどの成長期待があること、③数年で株価が3~4倍となっていることが、参考とすべき指標として解説されています。そこで、中国株式市場でのかつてのバブルとその崩壊についてみていきたいと思います。

・ 平成17年から平成22年までの5年間について、上海総合指数の動きをみると、下のグラフのようになりました。終値で平成17年7月18日に1014.36ポイントであったのが、2年と経たない平成19年3月19日には3032.20ポイントに達し、約2年の間に3倍になっていました。さらに半年後の平成19年10月15日には6092.06ポイントと、6倍に達していました。

・ 同時期の日経平均株価の上がり方や、NYダウの上がり方と比較しても、中国株式市場の上がり方は特に急で、平成19年10月時点で、中国株式市場は爛熟期を迎えていたと言っても過言ではないでしょう。実際、2007年の中国政府の動きをみても、①年前半に利上げが2回、預金準備率の引き上げが5回も行われ、②5月30日には証券取引税が引き上げられ、③6月18日には、融資先の企業が株や不動産への投資に資金を流用したことにつき、審査や融資先管理の不備を問題として銀行8行が処分されています。

①の金利を引き上げるということは、借金をしにくくし、投資行動にブレーキをかける、②の証券取引税は、証券取引にかかる税負担を重くし、投資行動にブレーキをかける、③の銀行に対する処分は、銀行を介して調達された資金が投資に振り向けられることを抑制する、という意味があり、明らかに、株式市場の過熱を抑制する方向での政策がとられていたと言えます。

また、中国国外からも、中国株式市場のバブル崩壊を危惧する声があがっていました。例えば、2007年6月には、FRBグリーンスパン元議長が、中国株式市場のバブル崩壊リスクに言及していましたし、同年7月31日には、独立行政法人経済産業研究所が「中国における株価の高騰とその行方-警戒すべきバブルの膨張」と題したコラムを公表し、警鐘を鳴らしていました。

こうした外国証券の発行元である外国の経済情勢について、証券を売る立場の証券会社は、必ずしも分かり易く、正確に教えてくれるとは限りません。当時発行された経済レポートをみても、メガバンク系の経済レポートには、中国の日系現地法人に融資を行っているせいか、中国株式市場のバブル懸念が取り上げられているのに対し、証券会社が出していた経済レポートには、中国株式市場がバブルであるという話は、はっきり書かれていないようです。

・ 経済知識や、情報収集、分析の機器や能力を持たない個人投資家に、リスクを引き受けたとして自己責任を取らせるなら、「いけいけ、どんどん。」というプラスとなる側面の話ばかりでなく、自己責任原則の前提としてのリスクを取ることを理解させるためにも、ある程度の見込みがある話であれば、マイナスとなる側面についても、情報提供すべきではないかと思います。また、外国の証券に投資しようか考える際には、利率の高さだけでなく、その外国の経済情勢について「明るい」とか、十分に正確な情報を入手できるルートを確保しているか、という点も考慮したらよいと思います。


7月 21 2021

■ その国・その企業に特徴的な価格変動要因に関する情報は掴めていますか?

・ 日本の株式市場では、1990年の年初からバブル崩壊を経験しました。戦後復興の右肩上がりの経済から、人口減少に向かっている現在の横ばい(やや下降)の経済につながる大きな転換点だったと思います。

・ かつての日本がたどったように、経済成長(良い意味での物価上昇)の真っ只中にいる国に属する企業の株式や債券に投資することが、超低金利の日本と比較した場合、株価上昇や金利の高さなど、とても魅力的に見えてしまうものです。

しかし、立ち止まって考えてみましょう。

日常生活の中で、テレビのニュースで流れる情報は、全国版のニュースのほかに、地方版のニュースがあります。新聞でも同じです。私たちは、世の中の動きを、テレビのニュースや新聞を通じて、知ることになりますが、意識しておきたいのは、その過程には、想定された視聴者・読者を念頭に、重要度に応じて、限られた時間・紙面の中で、伝えられる情報が篩いにかけられているということです。これは外国のメディアでも同じだと思います。そうだとすると、ある国のメディアが重要だと判断して報道したニュースが、日本の報道機関の目にとまり、日本国内にニュースとして報道される、という過程があるため、自ずと外国で起きている事情の詳細に関する正確かつ即時の情報収集は、信頼できる現地駐在員でもいない限りは、困難だということになります。

・ 証券会社は、いろいろと外国の証券を販売していますが、証券会社が自己取引として行っているのと同じレベルでの情報提供や助言は期待しない方がよいと思います。

というのも、個々の営業担当従業員は、テレビや新聞の報道を頼りに、売るための好材料となる情報ばかりを話しがちだからです。

また、「テーマ営業」といわれる、成長することが期待される一定の筋書きの物語を伴った販売活動がされることもあります。そうした場合、一括りに抽象的に物語りされるため、その国特有の事情や、その企業特有の事情を踏まえて、本当に、物語どおりにいく期待がどれくらいなのか冷静に考えてみる必要があると思います。

・ 情報の質や即時性という観点から思うことを書きましたが、外国の証券を買うかどうかを検討する場合には、日本とその外国との「法制度の違い」も押さえておく必要があると思います。


6月 30 2021

■ 目先の高金利に惑わされないように

・ 名目上の金利が高くても、ビックマック指数のように、物価を基準として、その国の貨幣価値を測れば、等価である筈です。そして、等価で交換(為替取引によって円貨を外貨に替えること、為替の手数料は無視)した後は、その後の事象の発生により、為替レートは変化します。将来のある時点で、“円貨を外貨にした時と同じ為替レート”で、外貨を円貨に交換した場合、貨幣価値として等価である保証はありません。

日本は、世界有数の超低金利の国ですから、高金利通貨と低金利通貨との交換を考えると、時間が経過すればするほど、高金利通貨の方が高くなる、つまり、円高となる、というのが理論的結論です。しかし、そうならないのは、政治や経済など、誰も予想できない事象が起きるからなのですが、これが現実です。

・ 収益認識を円貨で行う人にとっては、外国のほうが一見利率が高くて良いように見えますが、円に替えようとした将来のある時期において、最初に外貨を買ったときより為替が円高ならば、せっかく高金利で得た外貨の利益も、円転したがために吹っ飛んでしまいます。

証券マンは、外貨建の商品を売ろうとする際、高金利であることを売り込みますが、“今と同じ為替水準が将来も続く”という仮定には、十分注意すべきです。

変動相場制であるため、為替相場は、動くもの、わが国が超低金利であるうちは、時間の経過とともに、円高になるのが理論的な結論であるということを押さえておきましょう。

・ インターネット上には、いろいろと過去の為替レートを表示しているサイトがあります。

外貨建の取引をする際には、目先の高金利だけではなく、過去の為替レートの動きも眺め、投資期間や将来外貨を円貨に戻すタイミングなども検討しておく必要があります。

証券マンによっては、ある商品の償還や売却で外貨を受け取る時に、円に戻すと確定してしまう為替差損を表面化させないために、同じ外貨建の商品を勧めてくることもあります。その場合にも、為替の動きと円に戻すタイミングをよく考える必要があります。

なお、とくに商品を買う予定はないという場合には、為替差損を確定させないでおく方法として、リスクの小さいMMFあるいは外貨預金といった形で、“外貨のまま持っておく”という選択肢もあります。外貨MMF等の取り扱いのない外貨もありますので、外貨建商品を買う際には、外貨MMFの取り扱いの有無も注意する必要があると思います。


5月 25 2021

■ バブルってどういうこと?

・ バブル経済などと表現される“バブル”は,「泡」という意味で,実態の価値以上の評価(泡の部分)が生じている経済状態のことをいいます。株式などの値段も,人気が集中して,発行企業の実力以上の評価・値段となってくると,バブルと言われます。

“バブル”は、経済学的には、理論的に正当化される水準を超えて、株式や不動産などの資産価格が大幅に上昇することと言われています。株でいうならば、ファンダメンタルズを中心に測ったその株のあるべき価格よりも、人々の人気が集中し過ぎて、ずっと高値で取引されている状態ということです。こうした“バブル”そのものは、人々の期待や不安を背景にしていますから、常に、生じては消えていきます。

・ 書物から得た知識ですが,世の中に金余りがあり,誰もがもっと値上がりすると思っていて,株価が数年で3倍,4倍となっていれば,バブル爛熟期ではないでしょうか。いつ,何がきっかけで,人々の気持ちが反転するのかは誰にも分かりません。しかし,バブルの形成・成長・崩壊のどの過程に位置するのか,長い目でみて、現在値がどのくらいのところに位置しているかにも,目配りした方がよいのかも知れません。


5月 06 2021

■ 株価は人気投票?

・ チャート分析やファンダメンタルズ分析、あるいは、その会社が手がける新製品や事業分野についての成長見込みといった直感的な判断によって、「この株がよい。」と思った株式が思惑どおりに値上がりするかどうかは、他にもその株を欲しがる人がいるかどうかにかかってきます(需給要因)。こうしたことから、株式投資は、一般に、人気投票に喩えられます。ある意味、経済情勢の見通しと、株式を発行する会社の魅力がどの程度なのか、といった「先読み」の世界になります。

・ 市場に参加する人みんなが、「これは将来性がある」と思って、買いに動いたら、値段は需給で決まりますので、たとえ、その会社の実力以上であっても、株価は上昇することになります。この「読みをはずした」場合、しっかりした会社では、景気サイクルといった、どうしても避けられない浮き沈みはありますが、株式が紙切れになってしまうようなことは少ないといえます。逆に、上場後日が浅い会社では、投資家の「人気」が先行している場合だってあります。


4月 22 2021

■ 証券情報の調べ方

・ ファンダメンタルズ分析という方法は、企業の業績や経済状況・経営環境などから株価を分析する方法です。今の株価を割安とみるか割高とみるかなど、銘柄を選び出すときに使うとよいと言われています。バフェットさん流の長期投資をする際にも、企業の成長性・永続性などを考える上で、使われていると言われています。

・ 上場企業には、3か月ごとに、企業情報の開示が義務づけられています。有価証券報告書、四半期報告書といった開示書類は、EDINETでみることができます。こうした法定開示書類は、みても面白くないし、難しいので、多くの企業で株主向けの業績報告が、もっと簡単な形でなされています。より簡単にこうした情報を得るために、会社四季報とか、廃版になってしまいましたが日経会社情報といった本が出ています(いました。なお、今は、日経会社情報は電子版で情報提供されています。)。3か月に一度という発行のタイミングですから、その間の空白期間は、独自に情報収集して好材料・悪材料の影響を予測するしかありません。

・ 少し前の日本株の取引が問題となった裁判事案では、担当者が会社四季報を頼りに銘柄選択を行ったという話が登場してきましたが、最近関わった事案では、外国株が問題となったため、会社四季報は登場しませんでした。

日本と同じように、米国では、株式の発行企業の情報開示がSECによってなされています。グーグルの翻訳機能などを使って、調べやすくなったとはいえ、外国の株式・債券を買うか買わないかを決める上で、国内のものに比べ情報を得難いとはいえるでしょう。日々接するニュースでも、現地で放送されているものと、全国版、海外版で、内容の重要度に違いがあるのが一般的です。国外の金融商品を買ったら、その国のニュースにも関心をもった方がよいと思います。


3月 24 2021

■ 自己責任原則の例外と違法性

・ 自己責任原則は働くか?

証券取引の事件を通じて思うことは、相場の値動きがしっかりしているなどと顧客有利な状況だと強調する勧誘・推奨をしておきながら、肝心のマイナス要因については何も述べない、これで果たして顧客がリスクを引き受けたといえるのか? という疑問です。

 

・ 蓋然性の濃淡

例えば、将来の株価や為替相場について、確実なことは、誰にも分かりません。しかし他方で、経済新聞では、アナリストと呼ばれる方や実際にディールに携わっている人たちが、意見を述べています。また、日銀などの政府機関でも、為替相場が形成される背景要因について、分析・検討し、政策決定の中に取り込んでいます。このように、株価や為替相場の値動きの幅に関し、合理的に、ある程度発生しやすいと捉えられている範囲と、そうでない範囲とは、区別されています。突拍子もない値段は、事故や天災のときなどには起こりえます(ファットテール)が、普段は、起こらないだろうと考えられています。

将来どうなるかは誰にも確実なところは分からないとはいうものの、株価や為替の値段で、起こり得る可能性の高い幅というものが、ある程度つかめるというのも事実です。

 

・ 大きなテーマ

証券事件の裁判は、自己責任原則が働かないといえるかが問題となります。

過去の一時点において、投資家に、的確に危険性(リスク)をイメージさせていたといえるか? すなわち、投資家はリスクを引き受けていたとみてよいのか? が、大きなテーマだと思います。

 

・ 自己責任原則の例外・・・断定的判断の提供、虚偽説明

では、どのような場合に、自己責任原則の例外といえるのでしょうか?

金融商品取引法38条2号や金融商品の販売等に関する法律4条は、断定的判断の提供を伴う勧誘行為を禁止しています。これは、断言しなくとも、不確実なことをあたかも確実であるかのように告げられると、投資判断が歪められてしまうので、そうした発言自体を禁止するというものです。裁判例をみると、マイナスなことはほとんど告げず、プラスのことばかりに偏った説明・推奨を行うことが問題ありとされています。

また、当然のことでもありますが、金融商品取引法38条1号は、虚偽説明も禁止しています。

このように、断定的判断の提供や虚偽説明については、誤解を与える発言であったといえるか、あるいは客観的事実に反しているか、という面から捉えることができるため、具体的な事実関係から当てはまるかどうか、多少分かり易いとはいえます。ただし、その評価が正しく説得的であるかは、商品の仕組みや特性、背景にある経済情勢などを踏まえる必要があります。

 

・ 自己責任原則の例外・・・仕組みと危険性の説明義務違反

そのほかに、自己責任原則の例外として、違法性が認定される大きな枠組みとしては、適合性の原則と仕組みと危険性の説明義務違反に大別されます。

ここでの危険性(リスク)は、商品の仕組みそのものに由来する場合と、背景にある経済情勢を踏まえた値動きの蓋然性から由来する場合があります。

仕組みと危険性の説明義務については、投資家の取引期間・経験、学歴、職歴などの経験や、商品の仕組みや特性、背景にある経済情勢など、個別具体的な事情を踏まえて、当事者の遣り取りが評価されることになります。このため、法律に明文をもって記述し難いという面があり、民法(債権法)改正の審議の際にも、条文化は見送られました。

裁判では、過去の先例を参考としながら、投資家の属性や、商品の仕組みや背景にある経済情勢、具体的な当事者の遣り取りといった個別具体的な事情に即して、主張立証し、その義務の存在や義務内容、義務違反の有無が裁判官によって判断されることになります。

このように、証券取引の裁判では、①対象商品の把握、②推奨の合理性を検討するために、経済情勢などの背景要因の把握、こうした①②の前提事実を踏まえた上での当事者の遣り取りの評価といったプロセスが欠かせないと思います。


3月 02 2021

■ 時間を知る、幅を知る

・ 株価はときに速くなったりする

株価は時々刻々と動いています。その動きは、取引が多く成立すれば速くなり、取引が閑散としていれば遅くなります。ネット取引をしている方なら、板画面で値段が動くスピードとして実感されているのではないかと思います。私自身は、普段、日経新聞を読んで、金融市場の大まかな動きは眺めていますが、常にみている訳ではありません。

ですが、何年か前にQUICKの画面を見学させてもらったので、ニュースで日経平均や為替の動きを見て、動きのスピード感を想像しています。

 

・ 投資期間はリスクを想像する上で重要

どれくらいの期間で、どれくらい値段が動くのかといった感覚は、投資行為をする上でとても大切なことだと思います。自分なりの取引をする基準を決めておき、経済情勢など環境の変化を吟味しつつ、基準の見直しを図る頻度を考えたりすることが、有意義だと思います。市場は常に動いていますが、常時見続けている訳にもいきませんから、時間と値動きの幅から、ときどきチェックするタイミングをもっておくことで、思惑が外れたときに対処する機会を(値が大きく乖離しない)確保できるようになる、と思えるからです。

 

・ 差金決済取引の危険性

先物取引やCFDと呼ばれる差金決済取引では、呼び値と取引単位との間に差違がありますから、値動きが、その差違の分だけ増幅して損益に反映されることになります。あらかじめ、相場が動いたときに、1日とか数日とかいった期間でのどれくらい値が動くのか、その幅を知っておき、それに対して損益がいくら発生するのか知っておかないと、痛い目に遭うことになりかねません。損失の拡大に気付くことができずに放置している間に損失がとても大きくなってしまったり、逆に、目先の値動きに振り回されて、わずかな益を確定させるために多大なコストをかけてしまうこともあり得ます。いずれにしても、相場は不確実なものですから、常に自分の想定を正確にしようと努め続けることが欠かせないといえます。

 

・ 冷静さを失わないために

逆に、予想外に大きく相場が動いてしまって、処分すると損を確定させることになってしまうシチュエーションにも、値動き幅と時間を知っておくと、どれくらい持ち続ければ回復するのか想像することが出来るようになります。もちろん、想像ですので、その通りにならないことだってあるでしょう。しかし、少なくとも価格変動サイクル(景気サイクル)から、将来どれくらいの期間塩漬けにするのか、ということを冷静に考えられるようになり、焦って底値近くで損を確定させてしまうことは避けられるのではないかと思います。


2月 10 2021

■ 資産とインフレ

・ 一般に、資産(金、不動産、株式など)は、インフレに強いと言われることがあります。経済成長と呼ばれているものは、適度なインフレを想定しており、インフレとは、お金の価値が下がる現象ですから、同じもの(資産)を買おうとするのに、より多くの価格がつく(貨幣の額面が多く必要となる)ということです。

・ これは、モノの価値を基準としてみると、よく分かります。金(元素記号:AU、ISO通貨コード:XAU)は、非常に長期間錆びたりしにくく、その表す価値の保存に適しています。同じ量の金を買うのに、いくらの値段がつくのかといった視点から、比較時点での貨幣1単位が表す価値がいくらなのかを比較できます。

・ この金と同じように、土地についても、欲しいという人がいる限り、値段がつき、同じ土地にいくらの値段がつくのかといった観点で、その時期の経済状況に応じて比較できます。土地そのものの価値は外部環境が変わらなければ同じ筈ですので、インフレに強いということになります。なお、建物では老朽化を考慮しないといけません。

・ では、株式についてはどうでしょうか。日持ちしそうな資産に検討を加えてきた流れで、お気づきになられた人もいるでしょうが、株式を発行している企業の永続性に関わります。30年、50年、100年と存続し続ける企業の株式なら、企業が正常に存続している限りにおいて、資産として価値を保存する効果があると一応いえます。日々上げ下げはあるでしょうし、何か問題があった際には下げることもあるでしょうが、企業が時代の変化に適応し良好に存続しているのであれば、若い頃に買った株を持ち続けて、年老いた頃には評価額が増えているといった感じです。

・ 問題は、その企業が、長期間、時代の変化にも適応しつつ存続し続けるか?ということですが、こればかりは誰にも分かりません。20年も経てば経済環境も変わるでしょうし、それこそ不祥事だって起きるかも分かりません。

・ 株式(現物)は、インフレに強いと言われることがあります。年限のある債券や投資信託も、国や企業が発行したり、運営したりするファンドの存続に関わっています。ですので、投資商品の中では、株式は比較的インフレに強いとはいえます。しかし、金や土地といった物質と比べれば、株式は、発行企業が時代に適応し存続しているといった条件付での話なのです。

・ 企業の存続可能性について、一般論としては、企業の財務状況やコンプライアンスの程度といえそうです。証券取引市場ごとに上場基準(1部が最も厳しく新興市場ほど緩いと言われている)が定められていますので、どの市場で取引されている株式なのかが一応の参考にはなるでしょう。


1月 20 2021

■ 投資取引にまつわる損害賠償について

・ 当事務所では、投資取引の顧客側代理人として事件処理に携わっています。

・ どのような場合に請求が認められるかは,証拠関係にもよりますが,その取引によって異なります。例えば,投資といっても,実は,投資を装った詐欺の場合,損害賠償が認められても,加害者から賠償を得るのは難しいことがあります。よくあるケースではパソコンの画面では,お金が増えていくような表示がされるものの,ただそのような表示がされているだけで,いざ払い戻そうとすると,お金として払い戻せないパターンです。

・ 商品先物取引は,かつて、私が弁護士となった頃には、典型的には、電話で儲け話を聞かされ、その気になり、ときには借金をしてまでお金をつぎ込まされ,最初の数回は利益を上げるが、その後は、追証請求を受け追加資金を出させられ、今度は追証を回避するためと言われて、売と買の両方のポジションをもつ両建てにさせられ,損失を挽回するためと言われて取引を繰り返すうちに、資金が尽きる、こういった感じの被害事例が横行しておりました。

今では,商品先物取引に関する規制が強化されたため,こうした典型例は少なくなった印象ですが,昔商品先物取引業者に勤めていた人たちが,FX取引やCFD取引といった顧客と相対取引(売る値段,買う値段を業者が決めてその差額を受け払いする取引)を行う会社に流れていきましたので、一部で、顧客から取引名目でお金を奪っていくような業者もいるようです。こうした業者には,証券会社に比べれば,損害賠償が認められ易いといった印象です。

・ 銀行や証券会社はどうでしょうか。為替デリバティブや仕組債といった難しい取引・商品が問題とされた事例があります。株式では頻繁に取引させることで証券マンが手数料を稼ぎ出すという事例もあります。

ただ,投資取引では,基本は自己責任なので,損害賠償請求が認められるには,なかなか難しい印象です。無断で取引されたというのでない限り,顧客の自己責任原則の例外として,顧客の投資判断を歪められたといえることが必要です。法律では,適合性原則に従うことや説明義務を尽くすこと,断定的判断を提供しないことといった義務づけがなされていますので,これらに違反したことが前提となります。要するに,聞いていた話と違うといった要素が必要です。

さらに,断定的判断の提供があると投資判断を歪められたと考えられ易いですが,仕組みやリスクについて課せられている説明義務・情報提供義務の問題を検討する上では,相場判断の間違いそれ自体は,投資取引にはつきものですから,仕組みやリスクについて誤解させたという要素も必要です。

・ 聞いていたことと違う,取引の結果について納得できないという場合,ご相談下さい。労を惜しまず、お付き合いしたいと思います。


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